こんにちは。アロマセラピストの直井弘美です。
今年の冬は、通常のかぜとインフルエンザに加えて、新型コロナウィルスに注意が必要となり、とても気が抜けませんね。
今のところ、新型コロナウィルスに有効な精油はありませんが、長い歴史の中では、さまざまな感染症に対して植物の薬理作用が活かされてきました。そして、通常のかぜやインフルエンザの予防に効果があるだけでも、少し安心できますよね。
自然療法、アロマを活用してできることはなんだろうか?まとめてみました。
私たちの体に備わっている自然治癒力とは
私たちは、日常の生活の中で風邪を引いたり、ケガをしてもほとんどの場合は、治りますよね。
体の中にはパトロール隊がいて常に目を光らせています。
万が一、風邪のウィルスが体の中に入ってきたとしても、連携プレーで撃退してくれます。
ケガをした時には血が傷口をふさぎ、免疫たちが送り込まれ、ばい菌をやっつけ、かさぶたができ新しい皮膚がつくられます。
いっときは、「不調」となっても、元にもどろうという力が働きます。
これが自然治癒力です。
この自然治癒力を十分に発揮するためには
・自律神経
・免疫系
・内分泌系(ホルモン)
この3つの柱がしっかりと立っている必要があります。
「風邪やインフルエンザと言えば免疫力だけアップできればいいよね?」と思いがちですが、実はそうではありません。
先ほども書きましたが3つの柱がしっかりとしていないとぐらぐらして、バランスを崩し病気にかかりやすくなります。
3つの柱で『健康』を支えているのです。
特に、自律神経と免疫は深い関りがありますので自律神経を整えることは、大いに風邪やインフルエンザ予防につながるのです。
どんなことをすれば、自律神経が整うでしょうか?
ひとつは、ストレスをためないこと。
感情にとらわれすぎないということです。
そしてもう一つは、
休むべき時間にはしっかりと休み
活動すべき時間には元気に動く
メリハリ、オンオフをつけた生活を送ることです。
具体的には
・うまくストレス解消をする
・休む時には心も体もリラックスする
・早寝早起きを心がける
・適度な運動をする
などがあります。
この中でも、ストレスケアやリラックスはアロマの得意とするところですよね。
実は私たちの自然治癒力を支えてくれる3つの柱のひとつ『自律神経』は、心の影響をとても受けやすいのです。
「心と体はつながっている」とか「病は気から」などと言われますがまったくその通り。
ストレスによって自律神経が乱れると、免疫力がさがって病気にかかりやすくなったり、ホルモンのバランスがみだれて、生理のリズムがくるったりします。
そんな経験はないでしょうか?
目には見えない心の状態。なにかと後回しになりがちな『心のケア』は、実はとても重要なことなんですよね。
24時間体制で見張っています(免疫システム)
無意識のうち働いてくれている私たちの免疫。
免疫は大きくわけて2つあります。
ひとつは体の中に入ってきた細菌、ウィルスなどの異物をかたっぱしから排除するもの。
もうひとつは、前の免疫システムで、排除しきれなかった異物を狙い撃ちしたり同じ病気にはかからないようにするシステムです。
まずは前者の免疫システムから説明していきます。
風邪のシーズンに注目したいのは「鼻」と「のど」。
「へ?これって、免疫なの?」という感じですよね?
正しくは鼻とのどにある「粘液」とか「線毛」などです。
そしてなんと、「鼻毛」もまた風邪予防に一役買ってくれているのです!
実はこれらも立派な免疫の一員なんですよ。
少し詳しくみていきましょう。
鼻やのどは、空気を吸うためにいつも外界と接しているので、ウィルスや細菌にすれば格好の侵入経路となるわけです。
ドロボウから見たら、カギのかかってない窓のようなものでしょうか。
私たちの体もそれを承知の上、様々な方法でガードをしているんですね。
まずは、「鼻毛」。
「鼻毛」はフィルターとなって、大きなホコリを取り除いてくれます。
つぎに鼻の奥の「鼻腔(びくう)」は空気清浄機のような働きで、外からの空気をさらに洗浄し加湿し温度調整をしてくれます。
ここまで至れり尽くせりしてくれるのは、次に通るのどにある「線毛」の運動を活発にさせるためです。
ちゃんと理由があるんですね。連携プレイが素晴らしいです。
のどの「線毛の運動」。
CMで見た記憶があります。風邪薬だったか、のど飴だったか、詳しくは覚えていないのですが、のどの気道に小さな小さな毛のようなものがあり、1秒間に10~15回の規則正しい動きで、ここまで侵入してきた、細菌やホコリをからめとり、外に排出してくれます。
「線毛の運動」は、体温ほどの温度、適度な湿度があるときに活発に働いてくれますので、空気が「鼻腔」を通ってくれることでよいコンディションになります。
鼻呼吸ではなく口呼吸の人は、風邪を引きやすいと言われるのはこのためなんですね。
冬は空気も乾燥し、気温も低いですから、夏にくらべれば当然、「線毛の運動」は鈍くなってきます。
どんなことに気をつければよいでしょうか?
そしてどんなアロマの活用方法があるでしょうか?
考えてみましょう。
・お部屋に加湿器を置く
・首を冷やさないようにする
・鼻呼吸をここがけたり、マスクをして冷たい空気がダイレクトに気道に入らないようにする
・粘膜を丈夫にするための栄養をきちんととる
(ビタミンB2、B6、ビタミンC)
などでしょうか。
アロマ加湿器というものがありますので、殺菌作用、抗ウィルス作用のある精油を使えば、加湿と除菌がいっぺんにできて便利ですし、良い香りで癒し効果も得られます。
ここぞという時に働きます(免疫システム)
鼻やのどの免疫をくぐりぬけ、みごと私たちの体に侵入してきた風邪の細菌やウィルス。
体の中でどんどん増えようとしますが、私たちの免疫も黙ってみているわけではありません。
風邪のウィルスと免疫の本格的な戦いがここからはじまります!
ここからは免疫の名前が出てきますので「えっ!小難しい!」と拒否反応が出るかもしれませんが、名前まで覚えなくても大丈夫なのでかまえないで読んでくださいね。
まずは、爆弾をかかえてウィルスに立ち向かい、ウィルスとともに自爆してしまうという、ちょっと、いや、かなり過激な免疫が戦いをはじめます。
名前は「顆粒球(かりゅうきゅう)
派手な戦いをするので、その場所は台風のあとのような荒れた状態になってしまうという、ちょっと残念なところも。
続いて、戦いの酸いも甘いも噛分けるベテランの「マクロファージ」がどんどん敵を食べていきます。
食いしん坊なんですね(笑)
でもそれだけではなく、ウィルスの人相書きのようなものを他の免疫に送り、「こんな悪いヤツが入ってきたから注意!見つけたらつかまえるんだ!」と知らせます。
その人相書きを見て、「ふむふむ、この犯人をつかえるには、こうやって、こうして、フフフ。」と、戦略をねってウィルスをやっつけるのが免疫界のエリート「T細胞」。
さらに「T細胞」は、「B細胞」に抗体を作らせます。
抗体は聞いたことがある方もいらっしゃると思うのですが、侵入してきたウィルスをやっつける特効薬のようなものです。
効率のよい攻撃と特効薬の配布により、われわれの勝利です。
これらの一連の働きが「自然治癒力」です。
免疫といっても、一つだけではなく、いろいろな役割があってチームとして働いていましたね。
あの「鼻毛」だって役に立っていたのです(笑)
ちなみに「B細胞」は一度作った抗体のレシピはちゃんとファイルしてとっておくので、また同じウィルスが入ってきたときは素早く抗体をつくることができます。
ですから、同じ病気にはかからないということです。
「えっ!私は生まれてから、何度も風邪ひてますよ」
そうですよね。
実は風邪のウィルスは姿かたちを変えているので何度も風邪を引くのです。
ウィルスたちも考えていますよね。
いかがでしたでしょうか。
私たちの体に備わっている自然治癒力、免疫たちのチームワーク!
いい仕事してますねぇ。
風邪シーズンに準備したい精油
【ラヴィンツァラ】
ラヴィンツァラ?あまり聞いたことのない精油かもしれませんね。
ラベンダー、ティートリーと並んでアロマのホームケアには活躍するアロマです。
「ラベンサラ」とごっちゃになって販売されているので迷ったときには学名をチェック。「Cinnamomum camphora」となっているものが、ここでご紹介しているラヴィンツァラです。
香りはユーカリにとてもよく似ています。スーッとした爽やかな香りです。
成分と働きも似ている部分があるのですがもっと幅広く使えると思います。
・免疫を高めてくれる作用
・抗ウィルス作用
・去痰作用(痰をサラサラにして出しやすくしてくれる作用)
・抗カタル作用
風邪の予防にも、風邪の症状にも使えそうな作用がもりだくさん。
その他に
・誘眠作用(リラックスして安眠できる)
にも優れています。
免疫を高める作用はトップクラスなんです!
また、花粉症の方は春先にも使えるので1本買っておいても無駄にならないと思います。
【ユーカリ】
ユーカリはとてもポピュラーな精油です。「持っています!」という方も多いのではないでしょうか。
ところで「ラディアタ」ってなんでしょうか。
もしユーカリをお持ちの方はボトルに書いてある(書いてない場合もあります)学名を見てみましょう。
Eucalyptus radiata(ユーカリ・ラディアタ)
Eucalyptus globulus(ユーカリ・グロブルス)
この2つが一般的に知られているユーカリですので、どちらかが書いてあると思います。
今回のおすすめはEucalyptus radiata(ユーカリ・ラディアタ)こちらの方です。
どちらも成分がよく似ていて、やはり、働きもよく似ているのですが、Eucalyptus globulus(ユーカリ・グロブルス)の方は刺激が強いのです。
小さいお子さんや、高齢者、敏感な方は避けた方が無難です。
芳香、空間へのスプレーなどでしたら、そんなに神経質にならなくても大丈夫ですが、アロマスチーム(吸入する)、アロマジェル、アロマバスなど肌に触れる使い方は注意が必要です。小さいお子さんは禁忌となっています。
Eucalyptus radiata(ユーカリ・ラディアタ)が手に入らない場合はCinnamomum camphora(ラヴィンツァラ)を代用するとよいと思います。香りも働きもよく似ています。
ユーカリ・ラディアタには
・抗カタル作用
・去痰作用(痰を出やすくする)
・抗ウィルス作用
・抗菌作用
・免疫力をあげる作用
・咳を鎮める作用
・鼻など呼吸器の鬱血除去作用
(リンパ液や体液の滞りをなくす)
といった働きがあります。
特に呼吸器系、咳や鼻づまりにはぜひとも活用したい精油です。
のどがイガイガするとき鼻水が少し出るとき、なんだか息苦しく感じますよね。
自然とユーカリのボトルに手がのびて香りを嗅いでいたりします(笑)
ユーカリは枝や葉を自由に伸ばし、どんどん大きくなる植物です。
カラーセラピーではブルーの色。
そしてブルーのチャクラカラーといえば「のど」になります。
まじめで責任感が強く、感情を抑えてひとりでなんとかしようと頑張りすぎるタイプの方は、風邪を引くと咳がひどい、咳が長引く、なんていう特徴があるのだとか。
ユーカリには、そんなガチガチになった心を自由に解放してくれる働きもありますので、「私、あてはまるかも。」という方は使ってみるとよいかもしれません。
【ラベンダー】
アロマテラピーはラベンダーにはじまり、ラベンダーに終わる。そんなふうに言われるくらい奥の深い精油です。言わずと知れた「万能精油」ですね。
質の良いラベンダー精油を1本常備しておくと、いろいろなシーンで使えて便利です。
ラベンダーの効用を書きだすと沢山ありすぎるので。風邪の時に役立ちそうな効用をあげてみますね
・鎮痛作用
・鎮静作用
・誘眠作用
・筋肉弛緩作用
・抗炎症作用
・抗菌作用
風邪の症状のひとつで、体が痛くなることがありますよね。痛くなるというか、こわばると言った方が近いかも。
私は引き始めにそんなふうになります。
私とってはこの痛み、「あれ?これは風邪ひくかもしれな」という合図なんですね。
そんな時に、ホホバやスイートアーモンドといった植物オイルにラベンダー精油をまぜこわばるところに塗りこみます。
できれば誰かに優しく塗ってほしいですが残念ながら、自分でやっています(笑)
ラベンダーの香りで気持ちが落ち着き、筋肉弛緩作用(筋肉の緊張をやわらげる)と誘眠作用で体がほぐれます。
眠る前に塗ると、良質の睡眠がとれるようで、目覚めた時に、なんだか体が軽いのです。
「あれ?風邪はもう治ったかも?」なんてこともあるんですよ。
ラベンダーは癒しのアロマ。
成分の効果効用も素晴らしいものがありますが大きな癒しのエネルギーも感じます。
アロマの力って、目に見える成分だけでは、片づけられない部分もあって、そんなところが、とっても魅力的です。
風邪は早めにケアするとひどくならずにすむことがあります。
忙しい時ほど、体の声に耳を傾け、今の自分の状態を感じられるといいですね。
アロマの活用:風邪予防アロマスプレー
手軽に取り入れることができるアロマレシピとして「風邪予防アロマスプレー」をご紹介します。
【 材 料 】
・無水エタノール(10ml)
・精製水(20ml)
・精油(20滴)
・スプレーボトル
*現在、無水エタノールが手に入りにくい状況が続いているため、私は代用にホワイトリカー(アルコール35%)を使用しています。精製水を加えずに、ホワイトリカー30mlのみ使用します。
【 作り方 】
スプレーボトルに無水エタノールを入れて、そこに精油を20滴加えてよく混ぜます。
次に精製水を入れてフタをしめ、よくシェイクすればできあがり。
精油は上記でご紹介した
・ラヴィンツァラ
・ユーカリ・ラディアタ
・ラベンダー
に加えて
・レモン
・ティートリー
・ペパーミント
などもおすすめです。
合計20滴になるように好きな精油をブレンドしてみましょう。
そしてこちらのレシピは空間用として、お部屋や車の中で、空気中にスプレーしてくださいね。
エタノールも多めに入っていますし、精油濃度も少し高いのでお肌につけるものではありません。
この簡単にできてしまうアロマスプレーですが、使い方をひと工夫すると、風邪シーズンにとっても強い味方になってくれます。
使い方を詳しくお伝えしますね。
【その1:車の中でつかう】
風邪の流行るシーズンは、できれば人ごみは避けたいですが、ショッピングモールや学校の行事など、人の集まる場所へ行くこともありますよね。
帰りの車の中でスプレーをシュシュッ!
洋服や髪についた風邪のウィルスをやっつけてしまいましょう。
この時は空間にスプレーすればOKです。
ユーカリやミントのスッキリとした香りは、眠気予防になり運転にもおすすめ。
【その2:玄関でつかう】
お子さんが学校から帰ってきたら
旦那さんが会社から帰ってきたら
玄関でシュシュッ
相手にむかってスプレーするのではなく、真上にむかってスプレーします。
降りてきたミストを浴びるようなかんじですね。
玄関のニオイ対策にも使えて一石二鳥♪
【その3:寝室でつかう】
特に風邪ひきさんのいるお部屋におすすめです。
風邪ひきさんの咳やくしゃみには風邪のウィルスがたくさんいます。
体の外に出てからも、まくらカバ―やシーツ、そして床にくっついて、しばらく生きていることがあります。
こまめに掃除をしたり、シーツを交換したりすればよいのですが、忙しかったり、自分自身が寝込んでいる場合はできませんよね。
そんな時は、まくらカバーやシーツにシュシュッ床にもシュシュッ(シミにならない素材かどうか確かめてくださいね)
家族に風邪ひきさんがいるときは、風邪に風邪をうつさないために使えるのでとっても重宝します。
3つの使い方をご紹介しました。
スプレーはとても手軽に作れるのでブレンドを変えて、何種類か用意しておくのもいいですね。
アロマの活用:特別な道具がなくてもできる!アロマスチーム
マグカップに熱いお湯を注ぎ、精油を1~3滴たらします。
すると蒸気とともに精油の成分がたちあがってきます。
それをゆっくりと吸い込むのです。
一気に吸い込むと刺激になってむせてしまいますので様子をみながらゆっくりと。
精油に含まれる殺菌、抗ウィルス、免疫力アップ、抗炎症などの成分が、うがいでは届かない奥の方までとどいてくれてケアしてくれます。
おすすめの精油は
・ラヴィンツァラ
・ユーカリラディア―タ
・ローズマリー
・ラベンダー
・ティートリー
など
風邪予防にもなりますし、「あれ?少しのどがイガイガするかも」というような引き始めのときにもおすすめです。
*小さいお子様、妊娠中&授乳中の方、敏感な体質の方のアロマスチームのご使用はおすすめしておりません。
アロマテラピーは古代より人々が活用してきた植物の有効な働きを活かした自然療法です。
我が家でも、いろいろなシーンでアロマにお世話になり、お陰様でめったに病院やお薬にお世話にならなくなりました。
しかし細菌、ウィルスを徹底的にやっつけるわけではありません。
私たちに備わっている自然治癒力、それをサポートするように活躍してくれます。
ですので、自然治癒力が期待できない病気の方や、体力の弱っている方など、もしインフルエンザに罹ってしまったら命にかかわる・・・。
そういう場合には向かない方法です。セルフケアできる範囲なのかどうかを考慮したうえで上手に活用してくださいね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
■ご注意・免責事項
アロマ、クレイは医療行為、治療行為ではありません。アロマの使用につきましては自己責任でお願いします。
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